気象学研究室セミナー

2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度

2021年度 第83回~
第103回 静止気象衛星「ひまわり」とその後継機の検討 (國松 洋・札幌管区気象台)
静止気象衛星「ひまわり」の現行機は令和11年度までの運用を予定しており、後継衛星の製作を令和5年度から開始し、令和10年度に打ち上げを計画している。現在、「静止気象衛星に関する懇談会」において、今後の気象衛星の整備・運用のあり方について有識者にご議論いただいている。談話会では、気象庁の気象衛星業務についてこの懇談会の資料を中心に、発表者の気象庁での経験を添えて、ご紹介する。
第102回 静止衛星からの雷観測 (佐藤 陽祐)
雷放電を静止軌道から観測する雷センサは米国の2016年に打ち上げられた静止気象衛星GOES-Rに搭載され、静止軌道から雷放電の観測を行っている。また2023年に打ち上げ予定の欧州の衛星にも雷センサが搭載されることが決まっており、静止衛星からの雷放電観測に大きな注目が集まっている。本発表では「将来の静止衛星観測に係る検討会(MInT)」の雷センサ分科会において数年にわたり検討されてきた静止軌道からの衛星観測の有用性について紹介を行うとともに、数値モデルを用いた雷放電に関する研究の連携の可能性について紹介を行う。
第101回 北海道において大雨をもたらす低気圧の温暖化解析 (川添 祥)
極端な降水イベントが将来どのように変化するかは温暖化研究の中でも重大課題の一つである。それぞれの現象は、大気環境場や降水システム、降水の範囲や継続時間等相異するものであるが、多くは低気圧の直接・間接的な関係がみられる。今回は温帯低気圧・熱帯低気圧と降水の直接な関係に着目し、北海道における広範囲極端現象の温暖化応答をd4PDFを用いて調べた。降水量は温暖化による水蒸気増加だけではなく、低気圧の強さ、面積、移動速度も大きく関係しているので、それらの特徴も含めた解析結果を紹介する。
第100回 自己組織化写像を用いた、北海道における豪雪のトレンドと将来変化 (稲津 將)
海面気圧アノマリに対する自己組織化写像(SOM)を用いて、北海道における大雪の頻度、そのトレンド、および地球温暖化応答を調べた。ここでは、大雪日を降雪量が水換算で10 mmを超えた日と定義する。SOMにより北海道で生じる大雪日を、1)北海道南部での温帯低気圧の通過、2)西高東低の気圧パターン、3)北海道の東における低気圧偏差のパターンの3つのグループに分類できた。グループ1とグループ2は、それぞれ広尾(北海道南東部)と岩見沢(北海道西部)の大雪に関連し、札幌(北海道西部)の大雪はグループ3に関連していた。グループ2はWPパターンの負のフェーズに関連しており、このグループの頻度は将来増加することが明らかになった。一方、グループ1に関連する大雪日数は減少した。グループ2に関連する大雪日は、蒸発量の増加に伴う真冬に増加することが分かった。
第99回 ウンカ類飛来予測モデルOtuka et al.(2005)の再現実験と改良案の検証 (大石 渓登)
ウンカとは梅雨期から夏にかけて九州地方を中心とした日本各地でイネの坪枯れや縞葉枯病を引き起こす害虫である。このうちトビイロウンカは梅雨期に中国中南部から日本へ下層ジェットに運ばれて飛来する。本発表では2003年6月26日-29日の事例について、この飛来を数値モデルで再現したOtuka et al. (2005)に基づいて作成した数値モデルを用いて比較実験を行った結果を提示する。その上でより現実的な条件を設定したモデルを検証し、トビイロウンカの飛来の再現性についての議論を行う。
第98回 将来気候における豊平川流域の水資源量の変化 (谷口 陽子・苫小牧工業高等専門学校)
IPCC第5次評価報告書に対応した21世紀末の気候変動予測データを用いて,豊平川流域の水資源量がどのように変化するのかを示す。豊平川は北海道最大都市札幌を南北に貫き,札幌市民の水供給の約86%を賄っている。自然の水循環と人工の水循環が複雑に絡み合っている豊平川流域において,気候変動による水資源量の増減がどのように札幌市域の水利用へ影響するのかを議論する。また,気候変動が治水・利水へ及ぼす影響の最大の問題点はどのような点か,皆さんと意見を交わしたい。
第97回 温暖化気候における望月寒川の氾濫リスクの推定 (金盛 友香)
札幌市の中小都市河川の望月寒川を対象として、温暖化気候における氾濫リスクを評価する。望月寒川の氾濫リスクを評価するためには時間・空間的に解像度の高い降水データを必要とする。統計的な手法によって得た解像度の高い降水データを用いた温暖化気候における氾濫リスクの推定の結果を紹介する。また、力学的ダウスケーリングの手法の一つである擬似温暖化実験を用いて降水データを得る今後の研究の方針について述べる。
第96回 防雪柵まわりに形成される吹きだまりの数値実験 (丹治 星河)
冬季の北海道では,道路に発生する吹きだまりを防ぐために防雪柵が設置されている.しかし,吹きだまり緩和に最適な防雪柵の構造はわかっていないため,設置されている防雪柵は十分なパフォーマンスを発揮できていない.この問題に対して数値シミュレーションで解決するために、本研究では,3次元格子ボルツマン法による数値流体計算に基づいた吹きだまりモデルを開発した.このモデルでは,背景風を格子ボルツマン法で計算し,雪粒子の運動を求めた背景風に基づいて計算した.また,雪粒子のリバウンド過程と再飛散過程を導入した.
第95回 WBGTを用いた札幌市の暑熱環境評価に向けて (鈴永 未希)
近年、温暖化や都市化に伴う暑熱環境の悪化が広く社会問題となっている。比較的冷涼な地域である札幌においても、建物の老朽化などに伴う都市の再開発が積極的に進められており、暑熱環境は大きく変化していくと考えられる。そこで、湿球黒球温度WBGTの観測・数値計算を用いた札幌市の暑熱環境評価を研究目標とする。本発表では、WBGTや都市気候の基礎知識、関連論文を紹介するとともに、今後の研究方針を示す。
第94回 雲微物理過程と結晶の性質に関する研究 (加藤 真奈)
降雪をもたらす雲の微物理過程によって、晶癖やライミングの程度を始めとした雪結晶の性質が変化する。従って、結晶の観察から降雪の微物理が推定できると考える。この微物理過程を明らかにすることは、雪崩の様な雪質に関する現象の予測に繋がる。本発表では、アメリカ東海岸における冬季低気圧の微物理観測の研究論文と、2020年度冬季の北海道における降雪の観測事例についての分析を紹介し、今後の研究方針を示す。
第93回 北陸地方の冬季雷の特異性に関する研究 (韮澤 雄太朗)
北陸地方の冬季雷は、一発雷や正極性雷の割合が高いことを筆頭に特異である。冬季雷の観測や、気象モデルを用いた冬季の日本海の気象場に関する研究は行われているが、気象モデルを用いた冬季雷に関する研究は少ない。そこで、本研究では気象モデルを用いてある現実事例の解析を行い、北陸地方の冬季雷の特異性を調べることを目的とする。本発表では冬季雷の特徴と、気象モデルを用いた現実事例解析に関する論文の紹介を行い、今後の研究方針を報告する。
第92回 3次元放射伝達の基礎知識とモデル開発 (平田 憲)
数値モデルの高解像度化に伴い、水平方向へのエネルギー輸送を考慮した3次元放射伝達モデルの必要性が高まっている。一方、これまで開発されてきた3次元放射伝達モデルの多くは衛星リトリーバルに目的の主眼が置かれ、雲解像モデルへの実装には課題が残されてきた。本発表では、3次元放射を取り巻く基礎知識を関連論文のレビューとあわせて解説するとともに、発表者が現在開発している3次元放射伝達モデルの設計と今後の展望を紹介する。
第91回 北海道を対象とした降雪粒子の微物理学的特性の予測に関する研究 (鎌田 萌花)
気候変動を伴う温暖化によって北海道の気温上昇や積雪量の変化が見込まれ、同時に降雪粒子の微物理学的特性が変化し、降雪粒子の結晶形が変化すると推測される。 そこで、本研究では降雪粒子を成長プロセス毎に区別することのできるHashimoto at el.(2020)のモデルを用い、北海道を対象とした降雪粒子の微物理学的特性の予測を行うことを目指す。 卒業研究では計算領域を札幌を中心とした北海道の一部及びその周辺の海上のみに計算領域を設定して2事例の計算を行い、数値モデルの検証を試みたが、計算領域外から流入する雲を再現することが困難であった。また、札幌以外の領域を対象とした降雪粒子について検証をすることが困難であった。そこで、計算領域を拡大した計算を事例を増やして行うとともに、2020/2021の冬に観測された降雪粒子の結晶の写真を用いて検証を行った。本発表ではその途中経過を報告する。
第90回 気象モデルを用いた北海道での複数冬季降雪イベントに対する雲微物理スキームの評価 (近藤 誠)
混相雲・氷相雲内部では,気温と水蒸気の過飽和度に応じた成長過程を経て種々の固体降水粒子が生成される。しかし、バルク雲微物理スキームでは固体降水粒子を雲氷・雪・霰の三種にまとめており、混相・氷相雲を表現する上でその妥当性は検証されるべき課題である。本研究ではKondo et al. (2021)を北海道の複数地点・複数事例に拡張し、ボリュームスキャン型ビデオディスドロメータによる固体降水の粒径・落下速度の観測データを用いて、バルク雲微物理スキームの評価を行う。本発表ではひと冬計算の初期解析結果を報告する。
第89回 大規模アンサンブルデータを用いた確率論的降雨モデルの構築に関する研究 (篠原 瑞生)
日本全体を対象とした、確率論的に10万年分もの降雨イベントを発生させることのできる降雨モデルを構築、流出氾濫モデルと結合させることで、現在および将来における洪水リスクを確率論的に評価することができる。 本発表では、このうち、確率論的降雨モデルに関する手法の詳細およびd4PDF(過去、2K、4K)を用いたモデル構築の進捗について報告する。
第88回 北海道において大雨をもたらす低気圧の温暖化解析 (川添 祥)
極端な降水事象は近年幅広い地域で増加傾向を示しており、温暖化が促進すれば、より強く,より頻繁にこのような現象が起こりうる可能性が高いと予想されている。しかし、極端降水現象が実際どのように変化していくかは、大気環境場や降水システムよりある程度異なりが生じてもおかしくはない。そこで、本研究では北海道を対象とし、温帯低気圧と熱帯低気圧がもたらす極端降水現象の将来変化を大規模アンサンブル気候予測データ「d4PDF」を用いて解析した。本発表で前回の初期解析結果発表からの進展を紹介する。
第87回 気象雷モデルの予測可能性の検討 (富岡 拓海)
雷とは、積乱雲の中の電気的な偏りを中和するために放電する現象である。しかし、雷やその電気的特徴を陽に計算する雷モデルで、現実事例を扱っている研究は少ない。そこで本研究では、気象雷モデルの予測可能性の検証を目的とする。本発表では、卒業研究で用いた雷診断手法を改良した結果の紹介と、いくつかの冬季雷の事例を雷モデルを用いて数値実験した初期解析結果の紹介を行う。
第86回 数値気候モデルを用いた温暖化気候下でのウンカ飛来予測に向けて (大石 渓登)
ウンカとは梅雨期から夏にかけて九州地方を中心とした日本各地でイネの坪枯れや縞葉枯病を引き起こす害虫である。近年の研究でウンカは梅雨期に中国中南部から日本へ下層ジェットに運ばれて飛来することがわかってきた。本研究の目的はこのウンカの移動を数値気候モデルで再現し、温暖化気候での日本への飛来予測を行うことである。本発表ではウンカの飛来についての基礎知識とその関連論文、そして今後の研究方針を紹介する。
第85回 雲降水過程に関する数値モデル開発 (佐藤 陽祐)
雲は降水・降雪過程を通して日々の天気に密接に関わっている。また、それを構成する雲粒が水の一つの形態であることから、地球の水収支に大きな影響を及ぼすのみならず、相変化に伴う熱の出入りや放射過程を介して地球のエネルギー収支に重要な役割を果たしており、その振る舞いを理解するために数値モデルでの実験が行われている。本発表では発表者がこれまでに行ってきた、雲に関連した数値モデルの開発とそれを用いた数値実験の目的を解説する。その上で、例として、梅雨期の豪雨の特性と雷頻度に関連した数値実験に関する紹介を行う
第84回 力学系とアンサンブル予測の基礎知識およびその応用研究例 (稲津 將)
1週間から1か月予報は複数の初期値から予報モデルの時間積分を行うアンサンブル予報として実施される。本発表では力学系に対する考え方から出発して現業のアンサンブル予報に関する基礎を解説する。また、発表者がこれまで気象庁予報データを利用して研究した内容の一部を応用研究例として紹介する。
第83回 新年度にあたり相談会(稲津 將)

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2020年度 第57回~第82回
第82回 2.Idealized 2D Simulations of Arctic Mixed-Phase Clouds Observed during the SHEBA Campaign by SCALE-AMPS LES Model (Ong Chia Rui・東京大学)
Mixed-phase low-level stratiform clouds are frequently encountered in the Arctic region. There is a broad consensus that this type of cloud plays an important role in regulating the Arctic climate by trapping the outgoing surface longwave radiative flux and reflecting incoming solar radiation. However, models are often unable to consistently reproduce mixed-phase clouds with correct phase composition, hampering our ability to predict the Arctic future climate. It is suspected that the inconsistency is due to incorrect representation of ice microphysical processes. Deploying a microphysics scheme that can resolve these processes as detailed as possible may be a good start to understand the inconsistency in the future. In light of this, I have implemented the sophisticated microphysics scheme AMPS, which is a two-moment hybrid-bin scheme and capable of flexibly diagnosing the internal mass composition and geometrical structure of ice particles from the basic principles without having to prescribe a mass-size relationship, into the LES model SCALE (SCALE-AMPS). In this presentation, I will show the performance of SCALE-AMPS via simulations of mixed-phase clouds observed during the SHEBA campaign. The microphysical properties and thermodynamics profiles are analyzed and compared with the observations.
第82回 1.Research activity 2020 at Hashino lab (端野 典平・高知工科大学)
I will present the research activity conducted at Hashino lab. The bachelor students worked on 1) analysis of polarimetric radar observation from MIRAI, 2) development of sound-based rain gages with deep learning, 3) simulation of frontal snowfall during GCPEX, and 4) variability of cloud microphysical variables during ISDAC campaign. The issues include use of hydrometeor identification for model evaluation, direct measurement of falling rain drops, initialization of a habit-prediction model in a regional simulation, and relating sub-grid variability to resolved variables.
第81回 2017/2018年冬季における北海道の吹雪発生マップの作成 (丹治 星河)
吹雪によって雪粒子が目線の高さまで巻き上げられると,空気中の雪粒子の光の散乱効果あるいは移動する雪粒子の残像効果によって視程が低下する.本研究では,1km解像度の気象データを用いて,2017/2018年の北海道で発生した吹雪による視程低下を計算し,吹雪発生マップを作成した.また,自己組織化マップ(SOM)を作成して冬季の日本付近における気圧偏差の分布を分類し,北海道で吹雪が発生したときの総観場の特徴を調べた.また,2018年より開発を進めている吹きだまりモデルの進捗についても発表する.
第80回 北海道を対象とした降雪粒子の微物理特性に関する数値的研究 (鎌田 萌花)
気候変動を伴う温暖化によって北海道の気温上昇や積雪量の変化が見込まれ、同時に降雪粒子の微物理学的特性が変化すると推測される。しかし、従来の気象シミュレーションを行うほとんどの数値モデルでは降雪粒子を成長プロセス毎に区別していない。そこで、本研究では降雪粒子を成長プロセス毎に区別することのできるHashimoto at el.(2020)のProcess Tracking Modelを実装した気象モデルを用いて予測を行う。本発表ではモデルについての紹介とモデルの検証結果についての紹介を行う。
第79回 台風ボーガスを利用した降水領域を分類する手法の開発 (大石 渓登)
日本付近に梅雨前線が伸びる時期に台風が接近すると、台風性降水領域と前線性降水領域の区別が困難になる。この問題を解決するために、渦位逆変換法で作成した台風ボーガスを用いて台風発生期の気象場から台風の効果を取り除き、それを初期値・境界値条件として課した数値計算により台風性降水のない気象場を求める手法を開発したい。本発表では本研究で実施する渦位逆置換法による台風ボーガス作成方法を紹介し、2018年台風7号についての計算結果を示す。
第78回 主成分分析を用いた線状降水帯の抽出 (平末 彬)
近年、平成30年7月豪雨や平成26年8月豪雨などといった、線状降水帯による激しい災害が頻繁に発生しており、これに関する研究が多くなされている。しかし、線状降水帯について、それらを抽出する方法が特に統一されて行われてはおらず、主観的な抽出が行われている。本研究では、主成分分析を用いることにより、客観的な手法により線状降水帯を抽出する方法の開発を試みた。
第77回 シチズンサイエンスによる降雪結晶観測 (荒木 健太郎・気象庁気象研究所)
降雪結晶の微物理特性の把握のためには,降雪結晶をマクロ撮影した画像データの解析が有効だが,時空間的に密なデータ取得には課題がある.本講演では,気象研究所で実施している首都圏における市民参加型(シチズンサイエンス)による降雪結晶観測の取り組みについて,その概要や観測方法,シチズンサイエンスデータの特性等について紹介する.
第76回 平成29年7月九州北部豪雨と平成30年7月豪雨の発雷特性の違いに関する数値的研究 (富岡 拓海)
本研究では、気象モデルの物理量から雷回数を診断する手法の開発し、開発した手法を用いて、平成29年7月九州北部豪雨と平成30年7月豪雨の発雷特性の違いの原因を調べた。検証の結果、開発した手法は2つの豪雨の相対的な雷頻度の違いを表現できることが分かった。一方、雷の絶対数や時系列、位置を再現することはできなかった。また解析の結果、2つの事例の発雷特性の違いは、平成29年7月九州北部豪雨の方が積乱雲内での液水粒子の鉛直輸送量が多く、霰の質量が多いことに起因している可能性があることが示された。
第75回 確率論的降雨モデルを用いた、気候変動による洪水リスクへの影響評価に関する研究 (篠原 瑞生)
博士課程で計画している研究テーマについて紹介する。 近年頻発する大規模な洪水被害、そして、気候変動により懸念されているそのリスク増大の影響評価は、防災分野のみならず産業界においても急務である。 そこで、日本全体を対象とした、確率論的に10万年分もの降雨イベントを発生させることのできる降雨モデルを構築、流出氾濫モデルと結合させることで、現在および将来における洪水リスクを確率論的に評価することを目的とする。
第74回 タンクモデルを用いた望月寒川における氾濫可能性の推定 (金盛 友香)
札幌市にある望月寒川は、大雨時の急激な水位の上昇により氾濫を起こしやすい中小都市河川である。この望月寒川を対象として大雨時の氾濫可能性を推定するために、タンクモデルによる流出の再現を試みた。タンクモデルの作成の過程や過去の大雨事例の氾濫可能性の推定について紹介する。また、多アンサンブルデータベースd4PDFより温暖化気候での極端降水の降水量増加を見積もった。これをもとに温暖化気候での氾濫可能性についても検討する。
第73回 大規模アンサンブル気象データを用いた北海道のバレイショへの気候変動影響の確率的評価 (菅原 邦泰)
大規模アンサンブル気象データd4PDFを用いて、北海道のバレイショへの温暖化による影響の確率的な評価と適応策の検討を行った。温暖化環境(2K・4K上昇環境)では持続的な低温による生育の遅れのリスクは減少するものの、塊茎肥大期における高温が収量に負の影響を与えることが分かった。この影響は植付日を1か月前倒しにすることでは避けられないため、耐暑性品種への転換が必要な適応策となりうることが分かった。また、本発表では本年5月1日から8月17日にかけて理学8号館西側にて行ったバレイショ(メークイン)の栽培の記録についても報告する。
第72回 大雨をもたらす低気圧の初期解析報告 (川添 祥)
毎年のように発生する記録的豪雨により、日本各地で様々な災害が起きている。豪雨の発生要因は多々あり、その要因の中には温帯低気圧や台風の直接/間接的な影響が含まれる。本研究では、西日本及び北海道で発生した豪雨を気象庁1kmメッシュ解析雨量から抽出し、低気圧トラッキングプログラムNEAT(Neighborhood Enclosed Area Tracking algorithm; Inatsu 2009, Inatsu et al. 2013)の使用の元、豪雨周辺を通過する低気圧(温帯+台風)との関係性を調べた。今回の発表では初期解析結果のもだが、このように分類された降水現象が温暖化によりどう変化するかを目標としている。
第71回 気象モデルを用いたダウンバーストに先行する雷活動の激化に関する予備的な調査 (近藤 誠)
ダウンバーストは積乱雲からの強い下降気流による突風現象であり、観測的研究からlightning jumpと呼ばれるダウンバーストの発生前の雷活動の激化が報告されている。本研究では気象雷モデルを用いてダウンバーストとlightning jumpの関係を調査することを目的とする。本セミナーでは前段階として先行研究のレビューおよび、気象モデルでのダウンバーストの再現性調査のために行った、雷を考慮しない理想実験の結果について発表を行う。
第70回 雷放電観測(LIDEN)を用いた気象雷モデルの検証 (佐藤 陽祐)
Sato et al. (2019)で開発された雷を陽に扱うことのできる気象モデルSCALEをDownscalingによる現実事例に拡張した。拡張したSCALEを用いて2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、2018年の北海道を対象とした数値実験を行い、気象庁が実施している雷放電観測(LIDEN)との比較を通してSCALEの検証を行った。検証の結果、SCALEは3つの事例で観測された雷頻度の相対的な大小関係を再現できていることが明らかになった一方、雷頻度を過大評価する傾向が見られた。 この過大評価の原因は、SCALEによって計算される雲が観測に比べ、雲頂高度が高く、活発な対流雲となっていることであることが観測および気象庁非静力学モデル(JMANHM)の計算結果から示唆された。発表では些かマニアックであることは承知の上で、SCALEの雲微物理モデルのどの部分に原因があるか?の調査結果についても紹介する。
第69回 気圧・降水変換器の開発 (稲津 將)
海面気圧を多段回帰モデルであるSLPエミュレータにより長期間の海面気圧を得て、アナログ法と特異値分解解析を組み合わせて気圧から降水へと変換する、という極端降水の統計のための長期降水データを得る新たな手法を開発した。SLPエミュレータを簡単にレビューし、1000モード主成分に分解した全球再解析の海面気圧データに基づいて、多段回帰モデルを構築した。このモデルを積分することで日々の気圧値を得て、これを6時間ごとの値に補間した。次に、気圧・降水変換器を開発し、6時間ごとの気圧データから日降水量を得た。海面気圧およびその時間変化の空間パターンと類似した日を学習期間から探索し、その合成を第一推定値とする。実際の気圧と第一推定の気圧の差に相当する降水を、観測から得られた特異値分解解析の結果を使って求める。両者の合計が気圧・降水変換器で得られる値とする。この値は時間的空間的な連続性を満たし、極値統計も8年の学習期間を延長したものとなっていた。
第68回 線状降水帯の客観的分類についての研究とその関連論文(Bluestein and Jain (1985), Teruyuki Kato (1996)の紹介 (平末 彬)
近年激甚な災害をもたらしている線状降水帯について、下層の水蒸気量や鉛直シアの値から客観的に線状降水帯の分類を行い、今後の他の線状降水帯に関する研究への手助けとなればと考えている。現在研究自体にはまだ着手できていないため、これまで読んできた2つの論文についての紹介と、今後取り組む予定のことについて説明する。
第67回 温暖化による北海道のバレイショへの高温リスクの評価と適応策の検討 (菅原 邦泰)
気候変動の影響は農業分野でも顕在化しつつあり、気候変動に対する適応策を農業分野においても講じる必要がある。それは国内でもっとも農業が盛んな北海道でも同様である。本講演では、穀物を除いて世界で最も生産量の多い農作物であるバレイショ(ジャガイモ)に対する気候変動の影響を、多アンサンブルデータベースd4PDFを用いて定量的に評価すること、および適応策を検討することを目的とする。
第66回 平成29年7月九州北部豪雨と平成30年7月豪雨の発雷特性の違いに関する数値的研究の方針と関連論文(Takemi(2018))の紹介 (富岡 拓海)
近年、数多くの 豪雨災害が頻繁に発生している。それらの豪雨のうち、平成29年7月に発生した九州北部豪雨と平成30年7月豪雨は共に24時間で500mmを超える降水量を記録したが、雷頻度という観点では異なっていることが先行研究より報告されている。それらの研究によれば九州北部豪雨では発雷頻度が高かった一方、平成30年7月豪雨のは辛い頻度は低かった。しかし、発雷に密接に関わる雲の電荷分布や雲微物理特性に関して、両者の違いの原因について言及している研究は少ない。そこで、本研究では数値モデルを用いそれぞれの事例を再現し、雷雲の帯電に寄与していると考えられる霰や氷晶に焦点を当てた解析、比較を行うことで、発雷特性の違いの原因を解明することを目指す。今回のセミナーでは研究の方針とTakemi(2018)の論文の紹介を行う。
第65回 北海道を対象とした降雪粒子の微物理学的特性の将来予測に関する研究と関連論文(Hashimoto et al.(2020)の紹介 (鎌田 萌花)
将来、気候変動を伴う温暖化によって北海道の気温上昇や積雪量の変化が見込まれる、同時に降雪粒子の微物理学的特性が変化すると推測される。しかし、従来の気象シミュレーションを行う数値モデルでは降雪粒子を成長プロセス毎に区別していない。そこで、本研究では降雪粒子を成長プロセス毎に区別することのできるHashimoto at el.(2020)のモデルを用い、北海道を対象とした降雪粒子の微物理学的特性の将来予測を行うことを目指す。今回のセミナーでは研究の方針とHashimoto et al.(2020)の論文の紹介を行う。
第64回 温暖化における北海道の多湿化 (髙畠 大地)
地球温暖化は北海道のような亜寒帯では高温多湿化をもたらし、また降水量の増加も報告されている.しかし降水がどのような原因で増加するのかは明らかになっていない.本研究では北海道および比較のために九州を対象として温暖化による水蒸気の変化およびそれに伴う降水特性の変化を調べた.
第63回 台風ボーガスを用いた台風性降水領域の評価 (大石 渓登)
一般に台風の予報には数値シミュレーションを用いることが多い。しかし解析データをモデルに埋め込むだけでは、再現される台風が実際の台風と比べて大きく、中心最低気圧が高くなるという欠陥が生じる。この問題を解決するために、疑似的な台風の渦をモデルに埋め込む「台風ボーガス」の手法が採られる。この手法を応用して台風性降水と、別の要因による降水を判別し、台風性降水の領域を評価することをめざす。
第62回 格子ボルツマン法を用いた吹きだまりモデルの開発 (丹治 星河)
冬季の北海道では,道路に発生する吹きだまりの対策として防雪柵が各所に設置されている.しかし,吹きだまり緩和に最適な防雪柵の構造はわかっていないため,設置されている防雪柵は十分なパフォーマンスを発揮できていない.この問題に対して数値シミュレーションで解決するために、本研究では,3次元格子ボルツマン法による数値流体計算に基づいた吹きだまりモデルを開発した.
第61回 望月寒川における氾濫可能性の予測に向けて (金盛 友香)
札幌市には望月寒川という中小都市河川がある。望月寒川は大雨時の急激な水位の上昇により氾濫を起こしやすいため、洪水の確率的な予測や温暖化が進んだ場合の氾濫リスクの評価を行いたいと考えている。そこで、このような洪水の確率的予測の研究の第一歩として、タンクモデルを用いて過去の事例における水位の推定を行った。この結果と今後の研究の方針を述べる。
第60回 気象モデルを用いた北海道での冬季降雪イベントに対する雲微物理スキームの評価 (近藤 誠)
本研究では、北海道における降雪イベントを対象として、観測との比較を通じてバルク雲微物理スキームの改良を行った。気象モデルSCALEに実装されている3種類のバルクスキームをディスドロメータによる地上観測値と比較した。また、観測の結果に基づいて数濃度の診断パラメータを変更することで、1モーメントバルクスキームの改良を行った。数値実験の結果から、落下速度毎の粒子の頻度は2モーメントバルクスキームの再現性が高いことが明らかになった。一方で、1モーメントバルクスキームでは霰の粒子の頻度が過大評価されていた。これらの結果を踏まえて、1モーメントバルクスキームにおいて霰の粒径-落下速度関係式と数濃度を診断するパラメータを改良し、再現性を改善できることが示唆された。
第59回 札幌における高解像度花粉量予測システムの構築 (稲津 將)
札幌におけるシラカバ花粉濃度の予測モデルを開発した。花粉の大部分が発生源付近に沈着することを考慮して、道路や自然歩道に沿った現地踏査とGoogleマップでのストリートビューにより、札幌市中心から約10kmの範囲で高解像度のシラカバ樹木密度マップを作成した。次に、シラカバ花粉沈着量をシラカバ樹木密度、気温、風、大気境界層での乱流混合、重力沈降、および降水による湿性沈着により計算する大気拡散沈着モデルを開発した。飛散開始日は道立衛生研究所における花粉観察に基づいて与えられ、計算終了日は40日であると仮定した。2001年から2011年まで飛散予測シミュレーションは、観測における日変化をよく再現した。また、シラカバ花粉沈着分布は、風の強い日でさえ、シラカバ樹木密度の高い地域で高かった。
第58回 福島第1原子力発電所起源の137Csを対象としたモデル間比較プロジェクト(FDNPP-MIP)〜これまでの概要と最新の結果〜 (佐藤 陽祐)
2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所から放出された放射性物質の大気中での挙動を把握するため、数値モデルを使った研究がこれまで数多く行われてきた。それらの研究を通して、ここの研究で用いられてきた複数の数値モデルの結果を相互に比較し、モデルが持つ不確実性を評価するモデル間比較プロジェクトがこれまでに複数回行われている。本研究発表ではこれまで行われたモデル間比較プロジェクトの概要と、現在成果をまとめる段階にある第3回のモデル間比較プロジェクトの概要について紹介をする。発表ではこれ以外にも最近のSCALEの開発動向についても紹介する。
第57回 新年度にあたり相談会(稲津 將)

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2019年度 第35回~第56回
第58回 晶癖予測雲微物理スキームSHIPSの応用と課題 (端野 典平・高知工科大学)
大気中の氷粒子は形状が多種多様で、密度と大きさの取る値の範囲も1000倍の幅があり、数値モデル上の表現が難しい。 晶癖予測雲微物理スキームSHIPSは、氷粒子の放射特性を再現することを目的として開発されてきた。本発表ではこれまでのSHIPSを用いた再現実験や衛星データシミュレータについて、達成できたことやこれからの課題について議論する。
第57回 二重偏波レーダーを用いた降水粒子判別手法の開発 (梅原 章仁・気象研究所)
平成27年度以降、気象庁では現業用Cバンド固体素子二重偏波レーダーの導入を進めており、以降、降水粒子の形状特性・分布特性等を捉えた観測データ(以下、二重偏波情報)が得られるようになった。この情勢を受け、我々は、二重偏波情報の高度利用の一環として、ベイズ分類に基づく現業向けの降水粒子判別手法を開発した。本発表では、当該手法の概要、判別性能の検証結果、並びに判別結果を用いた発雷・突風ポテンシャルの推定に向けた取り組みについて紹介する。
第56回 気候変動による北海道のバレイショへの影響の検討 (菅原 邦泰)
気候変動による影響は農業にも表れると予想される.その中でも,農業を基幹産業としている北海道はその影響を特に受けると考えられる.本講演では,気候変動の多アンサンブルデータベースであるd4PDF/d2PDFを用いて,北海道における主要農作物の一つであるバレイショへの気候変動の影響を議論する.
第55回 類似法を用いた降水確率分布の予測 (金盛 友香)
統計的ダウンスケーリングの手法である類似法を用いて、札幌における大雨の降水量の確率分布の予測を試みる。JRA55のQ850とSLPのデータを用いて、札幌で豪雨となった1981年8月23日や2014年9月11日の降水量の確率分布を予測する。
第54回 冬季北海道を対象とした気象モデルの地上観測との比較による降雪粒子の雲微物理特性の検証(近藤 誠)
降雪イベントにおいてどのような降雪種が存在しているかは雪崩や視程に影響を与える。しかし気象モデルにおける降雪の雲微物理過程の再現性は依然高くはない。本研究では気象予報にも用いられているバルク法の雲微物理スキームを複数用いて冬季北海道を対象として数値実験をし、地上観測との比較によってその感度の検証を行った。
第53回 3次元格子ボルツマン法を用いた防雪柵まわりに発生する吹きだまり分布の推定 (丹治 星河)
冬季の北海道では,道路に発生する吹きだまりの対策として防雪柵が各所に設置されている.しかし,吹きだまり緩和に最適な防雪柵の構造はわかっていないため,設置されている防雪柵は十分なパフォーマンスを発揮できていない.そこで本研究では,吹きだまり分布を求める方法として,3次元格子ボルツマン法による数値シミュレーションを提案する.
第52回 気象庁における数値予報 (石田 純一・札幌管区気象台)
気象庁では防災気象情報や天気予報の発表のために数値予報を用いている。 気象庁において運用している数値予報の概要と目的、また今後の気象庁が重点的に取り組んでいく計画などについて紹介する。
第51回 夏季の北海道における暑熱環境の変化(髙畠 大地)
地球温暖化により夏季の北海道において高温多湿化や熱帯夜の増加が予想される.環境省では熱中症予防に有効な指数である暑さ指数(WBGT)を日々発信している.本講演では、多アンサンブルデータベースであるd4PDF/d2PDFを用いて夏季北海道のWBGTおよび熱帯夜の変化について示す.
第50回 台風周辺の雷にエアロゾルが与える影響評価(佐藤 陽祐)
本研究では雷を直接考慮した数値気象モデルにより台風周辺の雷にエアロゾルが与える影響を評価した。雷を直接考慮した数値実験を行うために、数値気象モデルSCALEを雷が直接計算できるように拡張した。この拡張したSCALEを用いて、理想化された台風を対象とした数値実験を行い、エアロゾルが台風を構成する積乱雲の雲粒電荷分布に与える影響を評価した。数値実験の結果から、エアロゾル数濃度が低い〜中程度の時には台風内部の雲粒電荷は下層から正→負→正という3極の分布となっていた。一方、エアロゾル数濃度が高い時には負→正の2極分布となった。また、2極分布の時の方が雷の頻度が多くなり、エアロゾルが雲粒の電荷のみならず雷にも大きな影響を与えていることが示唆された。発表ではSCALEに実装した雷モデルの簡単な説明も行う。
第49回 混合確率分布を使った粒径・落下速度分布へのフィッティング(勝山 祐太)
降水粒子の粒径・落下速度観測からは基本的な雲物理パラメータを得ることができ,近年は自動観測により大量のデータが蓄積されつつある.しかし,粒径・落下速度の観測には大きな測定誤差が含まれることがあるほか,複数種類の降水粒子が同時に観測されることが多いため,経験式に単純にフィッティングできないことが多い.本研究では,粒径・落下速度分布を二変数の混合確率分布として扱うことで汎用的に粒径・落下速度データにフィッティングする方法を提案する.
第48回 吹雪による高速道路の通行止めと気象場の関係(稲津 將)
NEXCO東日本研究助成により吹雪による視界不良が原因となった高速道路の通行止と、道央圏の水平風・気温、および総観測場の関係について調査している。力学的ダウンスケーリングの解析と合わせ、中間的な報告を行う。
第47回 台風の急発達の開始メカニズム(宮本 佳明・慶応義塾大学)
強い強度を持つ熱帯低気圧(台風)の多くが、その生涯に一度は急激に発達する過程(Rapid Intensification: RI)を経験する。一度RIが始まれば強い強度まで発達するため、RI開始の予測が非常に重要であり、即ち、RIが開始するメカニズムの理解が重要になる。この面からも、RIは台風研究において近年最も盛んに研究されるトピックの一つであるが、多くの研究が行われているにも関わらず、普遍的なメカニズムは未だ不明である。今回の発表では、RIに関する最新の研究のまとめから、発表者らによる研究を紹介する。
第46回 宇宙からの雷放電の観測(牛尾 知雄・首都大学東京)
宇宙から雷放電が観測可能なことが1960年代にアメリカの衛星観測によって明らかになって以来,幾つかの低軌道衛星が打ち上げられ,静止軌道からの雷放電観測が運用段階に入ろうしている.ここでは,宇宙からの雷放電観測の意義,方法,代表的成果,今後について概観する.
第45回 Analog methodを用いた集中豪雨の予測について(金盛 友香)
統計的ダウンスケーリングの手法の一つであるAnalog method(類似法)を用いた降水予測について紹介する。集中豪雨の予測に関する卒業研究に向けた展望を述べる。
第44回 数値シミュレーションと降雪粒子観測の比較に向けた数値実験〜SCALEをもちいた雲微物理スキーム間の比較〜(近藤 誠)
雲微物理のシミュレーションにおいて氷に関する雲微物理の再現性は検証が不十分である。卒業論文ではSCALEを用いた冬季北海道を対象とした降雪のシミュレーションと本研究室で行われている降雪粒子の観測との比較と検証を目的としてる。本発表では先行研究の紹介と共に石狩地域を対象とした降雪のシミュレーションと雲微物理モデルの感度について初期解析結果を提示する。
第43回 エアロゾルのポテンシャル?ー「環境汚染」と「気象変化」について(梶野 瑞王・気象研究所 )
エアロゾルによる環境汚染(PM2.5、光化学オキシダント、黄砂、酸性雨、放射性物質)と気象変化(エアロゾルー雲ー降水相互作用、エアロゾルー放射ー成層相互作用)についてエアロゾルの基礎的な話から近年の研究成果も含めて包括的な話をしたいと思います。
第42回 気温の変化に伴う北海道での降雨の変化~気象学と地形学との一つの接点~(古市 剛久)
地形変化(土砂移動と同時に起る連鎖現象)は降雨の影響を強く受ける.地形変化に関する過去のイベントの分析や将来へ向けた予測では,降雨の特徴がどのように変化してきたか,どのように変化していくかを理解し推測することが一つの鍵である.本発表では,降雨の強度,頻度,空間パターンが気温変化によってどのように変化するかを推定する手法の一つを概説し,この推定が,過去から現在の地形形成や現在から将来への地形変化の検討に対してどのようなインパクト(意義)を持つのかについて考える.
第41回 地球系の放射過程と関連する気候問題について(中島 映至・宇宙航空研究開発機構)
地球系は、太陽から太陽放射エネルギーを受けて温められる結果、物質から熱赤外放射が射出され、それが宇宙空間に散逸することにより、その状態(気候)を維持している。ここではこのような放射伝達過程の知識と、それを応用したリモートセンシングと気候の関連する問題を議論する。
第40回 北海道における夏季降水帯の将来予測に向けて(高畠 大地)
北海道では、梅雨前線の北上・停滞により、たびたび被害を受ける。昨年の「平成30年7月豪雨」では、上川地方を中心に降水量が観測1位となり、また石狩川水系の河川が氾濫するなどの被害が出た。本研究では将来、梅雨前線が北上し北海道上で停滞するというイベントがどの程度、発生するのかを評価する。本講演では、その第一段階として「比湿」という側面から議論する。
第39回 気象庁1か月アンサンブル予報におけるオホーツク海高気圧発生の予測可能性(菅原 邦泰)
5~8月に発生するオホーツク海高気圧は北海道に異常低温をもたらすことがある。この異常低温は農作物の生育を阻害することもあり、社会的な影響も大きい。本講演では気象庁の1か月アンサンブル予報を用いてオホーツク海高気圧の予測可能性および予測因子について調査した結果を発表する。
第38回 吹雪発生時の高速道路における視程障害・吹きだまり量の推定(丹治 星河)
吹雪に伴う視程障害や吹きだまりの形成は,北海道など冬季積雪地域における重大な交通障害をもたらし,高速道路では通行止めが何度も施行される.吹雪の主因は地表風であり,吹雪はしばしば1km以下スケールの狭い範囲でのみ起こることが知られている.よって,気象データから吹雪を再現するためには1km程度の解像度のデータが必要である.本研究では,力学的ダウンスケーリングにより1km解像度の気象データを作成し,このデータを使って吹雪の発生可能性および視程を推定した.対象期間は,2018-2019年冬季において通行止めが施行された吹雪事例である.通行止め情報はNEXCO東日本より提供していただいた. また,この研究とは別に,吹雪に伴う道路周りにおける吹きだまり形成をシミュレーションするモデルを現在作成している.その途中経過についても説明する.
第37回 地球温暖化および圧雪による土壌凍結への影響(勝山 祐太)
圧雪は積雪の断熱効果を弱めるため,土壌凍結を促進する効果があるほか,それによる生態系への影響も指摘されている.また,地球温暖化は,積雪の湿雪化を促進するため,積雪の断熱効果は将来弱くなる可能性がある.一方で,地球温暖化による気温上昇により,土壌凍結深は大幅に減少する可能性も指摘されている.本研究では,1990年代と全球平均気温2K上昇年代の地球温暖化予測データを積雪変質モデルSNOWPACKの入力値とすることで,北海道十勝地方を対象に,温暖化による積雪の湿雪化を考慮したうえで土壌凍結深の将来変化を推定した.また,圧雪の土壌凍結への効果が今後どのようになるかについても検討した.
第36回 気象・気候モデルを用いた雲・エアロゾル・雷の数値実験の取り組み(佐藤 陽祐)
雲は水循環や放射過程を介して、地球のエネルギー収支に大きな影響を及ぼす。この雲と、雲の形成に密接に関わる大気中の微粒子(エアロゾル)の特性を理解するために数値実験(シミュレーション)が用いられる。近年の計算機能力の飛躍的な向上によって、数値実験は室内実験や観測、さらには理論研究に続く研究の柱として確立されつつある。本発表では、発表者の佐藤がこれまでの研究で取り組んできたエアロゾルや雲、さらにはそれらに関連する様々な要素(例えば、化学物質や放射性物質)や現象(雷など)に関する数値実験の結果、数値モデル(シミュレーションコード)の開発の概要などにについて紹介する。
第35回 新年度にあたり相談会(稲津 將)

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2018年度 第16回~第34回
第34回 日本列島における極端事象の将来変化について(岡田 靖子・海洋開発研究機構)
異常高温や大雨といった事象は発生頻度が稀であるためサンプル数に限りがある.信頼性の高い予測結果を得るためにはデータ数を増やすことが必要不可欠である.本研究では,そのような低頻度事象について十分なサンプル数を得ることが可能である大規模アンサンブルデータセットd4PDFを用いて,日本列島における気温および降水量の低頻度事象の将来変化について調査した.本研究では,特定の地点のような狭い領域における20km格子間隔データセットの活用および極端事象の将来変化や不確実性に焦点をあてて紹介する予定である.
自己組織化マップを用いた東北地方における極端低温の将来予測(川添 祥・海洋開発研究機構)
東日本の夏季気候で定期的に発生する低温現象の大きな要因としては、南西風のヤマセがもたらす下層雲増加・日射不足の影響だと数多くの先行研究にて報告されている。しかし、温暖化時のヤマセ関連研究は極めて少ない為、本研究ではd4PDF大規模アンサンブルを活用し、近未来(2℃昇温実験)・世紀末(4℃昇温実験)世界の将来変化を検証した。解析手法としてはクラスター分類法の一つである自己組織化マップを使用し、極端な低温をもたらす大気循環をいくつかの海面気圧パターンに分け、それらの将来変化傾向を様々な観点から調べた。セミナーではこれらの解析によって得られた結果を紹介する。
第33回 梅雨前線の将来予測に向けて(高畠 大地)
2018年6月28日から7月8日にかけて梅雨前線と台風第7号の影響により温かく非常に湿った空気が供給され続け、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨となった(平成30年7月豪雨)。北海道においても留萌から大雪山系にかけてのいくつかのアメダスでは降水量が観測1位を記録し、石狩川中流域の本流、支流が氾濫することで住宅、農地へ大きな被害を出した。気象庁では北海道には梅雨はないとしているが、本年や56水害(昭和56年)のように梅雨前線の北上に伴って前線本体が北海道上に停滞することはときどきある。本研究では、そのようなイベントがどの頻度で起こるか、そして将来、地球温暖化でどのように推移するのかを調べる。本講演では、初段階として平成30年7月豪雨についてJRA-55を用いた解析について発表する。
1か月予報におけるオホーツク海高気圧と冷害の予測可能性(菅原 邦泰)
5~8月の北海道における異常低温は主にオホーツク海高気圧の影響によって発生する.この異常低温が続くことで農作物は冷害の被害を受ける.特にその影響はオホーツク海に近い網走や根室で大きい.本講演では気象庁の1か月アンサンブル予報を用いてオホーツク海高気圧の予測可能性および予測可能因子について、二つの事例に焦点を当てて調査した結果および今後の方針について発表する.
第32回 格子ボルツマン法を用いた吹きだまり形成のシミュレーション(丹治 星河)
先週札幌でも本格的に雪が積もり遅めの雪景色となったが,この時期に注意したいのは吹雪に伴う視程悪化や吹きだまりによる事故である.特に吹雪によって形成される吹きだまりは,一度道路に広がると人や物の移動の妨げになるほか,立ち往生の原因ともなり非常に危険である.このような吹きだまり形成に対するシミュレーションには,乱流を含む風のシミュレーションが必要不可欠とされている.従来の研究ではRANSやLESを用いたシミュ レーションが行われていきたが,時間的・空間的に激しく変化する乱流や積雪面を十分に表せず,正確な吹きだまりの再現には至らなかった.そこで本研究では乱流を格子ボルツマン法によって求め,その結果を吹きだまり形成に応用する.今回はその前提として,格子ボルツマン法という計算方法について解説し,格子ボルツマン法でシミュレーションした様々な構造物周りの風の場を紹介する.
第31回 シラカバ花粉の放出量と気温変動率の関係性について(狩野 翔太)
シラカバ花粉の飛散予測を高精度に行うには、シラカバ花粉の放出量と放出タイミングの決定が必要であり、本研究の目的は気象要素を用いたシラカバ花粉の日放出量の決定である。一方、川島(2017)では、前時刻から気温がどれだけ変化したか、すなわち気温変動率が花粉放出量に関係することが示唆された。そこで、本講演ではシラカバ花粉放出量と気温変動率の関係性についての調査結果を示し、その考察と今後の方針について発表する。
第30回 ISSW2018報告(勝山 祐太)
International Snow Science Workshop(ISSW)が2018年10月にオーストラリア・インスブルックで開催された。ISSWは、"A merging of theory and practice"をスローガンとし、理論と実践の融合を目標とした国際会議である。そのため、雪の研究者だけでなく道路・鉄道・スキー場管理者などの現場の関係者も多く参加することが特徴的である。今回は、このISSWへの参加報告を行う。
第29回 夏季九州における集中豪雨に対する流出応答(玉置 雄大)
降水強度,総降水量,継続時間は河川の流出特性に影響する.降水強度,総降水量に対する流出応答を評価した研究は多いが(例えばChen et al. 2013),降水継続時間に対する流出応答を評価した研究は,仮想の降水時系列を用いた研究のみにとどまる(Bezak et al. 2018). 一方でTamaki et al. (2018)は大雨をもたらす気象場によって降水継続時間の長さ,モデルバイアスが異なることを発見した.そこで本研究では夏季九州に大雨をもたらす代表的な台風豪雨(2007年台風4号),梅雨豪雨(2012年九州北部豪雨)の2事例を対象にタンクモデルを用いて降水継続継続時間に対する流出応答を評価する.
第28回 大気ブロッキング発達の診断法(稲津 將)
10日程度の持続性をもつ大気ブロッキングは中高緯度の予測可能性に重要な気象である。その発達の原因として低周波・高周波の渦フラックス収束の効果があるとされている。しかし、予測データにその診断をしようとすると、未来時間のデータにフィルタを適用する必要がある。本研究ではまず、準地衡系で行われているモード展開法をプリミティブ系に拡張し、モード方程式を導出する。その後、Barriopedroに従い定義したブロッキング事例の合成として、ブロッキングをZ500主成分の線型結合の持続として再定義する。これにより、導出したモード方程式によるブロッキング診断が可能になる。本研究では予測データを使わず、あくまで再解析データでの診断を行う。
第27回 新学期開始にあたり相談会(稲津 將)
第26回 人工雪崩実験と吹雪の高密度観測(西村 浩一・名古屋大学)
地球規模の温暖化の進行が叫ばれる一方、日本はここ数年、平成18年豪雪に匹敵する大雪に見舞われ、雪崩による人身事故や交通障害、森林や建物、橋梁の破壊、さらには吹雪による多重衝突事故、多数の車両の立ち往生、吹きだまりへの埋没等が報告されている。また2014年2月中旬に本州太平洋岸に接近・通過した低気圧は、「非雪国」である関東甲信地方を中心に記録的な大雪をもたらし、この時に発生した膨大な数の雪崩は、家屋や構造物への被害に加え、至る所で交通障害や集落の孤立を引き起こしたことは記憶に新しい。IPCCの最新の報告では、こうした極端気象によりもたらされる豪雪は今後も増加する可能性が指摘されている。上記の背景のもと、我々は雪 崩の包括的データの取得を目的として、国内ではおよそ25年ぶりとなる組織的なフルスケール雪崩実験(通称:平成雪崩大実験)を北海道のニセコで開始した。またこれと併行して石狩の広大な平坦地に総計16台のスノーパーティクルカウンター(SPC)と3次元超音波風向風速計を設置して、吹雪の時空間変動と乱流構造に関わるデータを取得した。セミナーではこれらの試みについて紹介する。
第25回 陸面モデルを用いた集中豪雨の時間構造に対する流出応答(玉置 雄大)
河川の流出特性は降水強度,総降水量,継続時間に依存する.降水強度,総降水量に対する流出応答を評価した研究は多いが(例えばChen et al. 2013),降水継続時間に対する流出応答を評価した研究は,仮想の降水時系列を用いた研究のみにとどまる(Bezak et al. 2018). 一方でTamaki et al. (2018)は大雨をもたらす気象場によって降水継続時間のバイアスが異なることを発見した.そこで本研究ではモデルで継続時間バイアスが特に過大であった代表的な豪雨事例を対象に,陸面モデルを用いて異なる気象場の降水継続時間に対する流出応答を評価する.
第24回 シラカバ花粉の飛散予測における花粉放出量と放出タイミングの決定について(狩野 翔太)
シラカバ花粉症の対策には花粉の飛散予測が有用であるが、その予測には気温・降水・風などの気象要素による花粉放出量および放出タイミングの決定が重要となる。本研究の目的は、シラカバ花粉の飛散予測シミュレーションに花粉放出量や放出タイミングの決定モデルを組み込むことである。本講演では、花粉放出量と放出タイミングについて述べられているSofiev et al.(2013)などの関連論文をレビューし、今後の展望について紹介する。
第23回 S2Sプロジェクトのデータを用いたダウンスケーリング予報の農業気象への応用に向けて(菅原 邦泰)
S2S(季節内季節間予測)プロジェクトでは、中期予報と季節予報がそれぞれ対象とする時間スケールの中間にある1か月予報を対象としている。本研究ではS2Sプロジェクトにおけるデータに統計的ダウンスケーリングを用いることで農業気象の予報へ応用することを目標としている。本講演では関連論文であるXue et al.(2014)とNemoto et al.(2016)をレビューし、今後の研究の展望について発表する。
第22回 気象観測のデータレスキューから明らかにする台風の長期変動(久保田 尚之・北海道大学)
風の変動を明らかにするには、長期にわたる気象観測データ、台風経路データが欠かせない。気象庁の台風統計資料の台風経路のベストトラックデータは1951年からまとめられている。一方で1951年以前も気象観測データや台風経路データは存在するものの、現在と同じ基準で議論できないため、これまで台風に関して整備されてこなかった。現在、「データレスキュー」と呼ばれる図書館などに埋もれてこれまで利用されていなかった気象資料を復元して過去の気象や気候を明らかにする研究手法に取り組んでいる。本研究では台風に着目し、西部北太平洋域で発生した台風を19世紀まで遡って復元し、その長期変動や類似台風の事例について報告する。
第21回 台風トラッキング手法の現状と開発(稲津 將)
低気圧トラッキングとはデータ中の極値点の追跡であり、その方法は各種提案されている。台風に限定すると、併合・分裂あるいは高速移動がない分、追跡自体は容易だが、温帯低気圧との区別に工夫が要る。通常は鉛直シアや暖気核の条件を追加する。本講演ではBengtsson et al. (1995)が開発した手法の問題点を明らかにし、Satake et al. (2013)での改善点を考察する。
第20回 北海道全域における複数の力学的ダウンスケーリングに基づいた積雪の地球温暖化に対する応答(勝山 祐太)
本研究では,複数の全球気候モデル(GCM)から力学的にダウンスケーリングされたデータを最新の積雪変質モデル(SNOWPACK)の入力値とすることで,積雪の地球温暖化に対する応答を調べた.その結果,温暖化による融雪量の増加は少なかったが,北海道東部と後志地方で降雪量の大幅な減少が見られた.降雪量の減少により,年最大積雪深と年最大水当量は30%程度減少した.積雪日数は北海道全域で1ヶ月程度減少した.また,温暖化により,北海道の広い範囲でざらめ雪が卓越するようになり,北海道東部のしもざらめ雪は減少した.さらに,自己組織化マップを用いた解析により,GCM間のばらつきが大きいものの,降雪量の減少は主に冬季モンスーンによる降雪の変化が原因となっている可能性が分かった.
第19回 力学的ダウンスケーリングに基づく吹雪の発生可能性の事例解析 (丹治 星河)
吹雪は視程悪化や吹きだまり・雪庇を発生させ交通障害や雪崩の原因となるため,その発生予測は重要な課題である.しかし,吹雪が発生する数十mスケールの乱流場の計算は高負荷であるため,吹雪発生をコンピュータで正確に計算し予測することは困難であった.そこで,メソ数値予報モデルの解析値に対しラージエディーシミュレーションを用いた力学的ダウンスケーリングを施すことで得た高解像度の気象データと,従来の研究に基づいた式を使って広域における雪粒子空間濃度と視程を求めた.これらの事例解析の結果を説明する.
第18回 アンサンブルスプレッドによる予報ガイダンスの精度向上手法(相河 卓哉)
予報ガイダンスとは、数値予報が持つ誤差を統計的に推測することで数値予報の生のデータより精度を高くしたデータのことである。この処理によってモデルと現実で地形が異なることなどによる影響が軽減されたデータが提供されている。しかし以前から、モデルが予報を大きく外した際に過学習によりガイダンスの精度が低下することが指摘されていた。本研究ではアンサンブル予報のスプレッドを予報の精度と考えることで、予報の精度が悪いときには学習を抑制しガイダンスの精度悪化を軽減しようと試みた。その実験段階としてLorenz 96モデルに適用し、一定の成果が得られた。
第17回 北海道における気候変動適応社会実装の実例~北海道大学・北海道開発局・北海道庁の取り組み~(稲津 將)
平成28年8月に北海道に大きな被害をもたらした台風上陸・接近を契機に今後の水防災対策のあり方を検討するため、北海道地方における気候変動予測(水分野)技術検討委員会を設置が設置された。本検討は北海道開発局・北海道庁・北海道大学が実施し、d4PDF-20kmの過去実験および4K実験から力学的ダウンスケーリング計算 によって、洪水リスクがあるケースの流域降雨の詳細計算を実施した。計算は十勝川・常呂川の流域雨量が年降水を記録したケースに限定し、計算結果に対してバイアス補正を実施した。リサンプリングを利用した一般化極値分布への当てはめの結果、4K実験と過去実験の確率降雨の信頼区間が重複しており、将来の豪雨は現在気候においても発生する可能性があることがわかった。タンクモデルを用いた流出計算により、将来気候では2016年の洪水量を上回る洪水が増加し、特に常呂川で顕著であることがわかった。降雨・流量例から氾濫計算を行い、浸水・死者リスクを評価した。十 勝川・常呂川ともに気候変動リスクの増大が明らかになった。
第16回 新年度にあたり相談会(稲津 將)

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2017年度 第1回~第15回
第15回 札幌におけるシラカバ花粉の飛散シミュレーション(吉田 遼)
シラカバ花粉はシラカバ花粉症を引き起こす原因物質である。シラカバ花粉の飛散シミュレーションを行うことは、シラカバ花粉症患者にとって重要である。そこで2010年と2011年を対象に飛散シミュレーションを行った。本発表では飛散シミュレーションの結果について紹介する.
第14回 冬季中緯度における雲量の季節内変動特性(佐藤 令於奈・福岡大学)
冬季中緯度における雲量の季節内変動成分の空間位相構造を、循環場の変動と関連付けて調べた。日本周辺において、雲量の極大は、500hPa等圧面高度によく代表される高度場の季節内変動成分のトラフ東方に位置していた。セミナーでは、雲量と高度場の位相構造の経度・高度依存性について詳しく述べる。
第13回 理想化実験をつかったストームトラック形成(稲津 將)
発表者が1999年から2003年ころまで実施した理想化実験による研究をレビューする。熱帯と中緯度海面水温の東西分布が作り出すストーム活動度の東西非一様性の形成メカニズムに焦点を当てる。熱帯海面水温分布は発散風を介して中高緯度の定常波の強制源となっており、その定常波に伴って生じる傾圧性分布がストーム活動度を制御していることが分かった。一方、中緯度海面水温分布は下層の傾圧性を直接制御することでストーム活動度に東西非一様性を与えることが分かった。
第12回 降雪粒子観測とその結果の中間報告(勝山 祐太)
重要な地上微物理量の一つである降雪粒子の粒径・落下速度を自動観測する測器を開発し,2016/17年冬に試験的に観測を行った.本セミナーでは,測器の開発から現在得られている観測結果について報告し,現状の問題点を議論する.
第11回 データ同化の基礎とLorenzモデルに対するカルマンフィルタの適用(相河 卓哉)
8月に日本海洋科学振興財団によって開催された第21回データ同化夏の学校に参加し、データ同化の基礎について学び数値モデルに対してそれを適用する演習を行った。今回のセミナーではそのデータ同化の基礎と、演習として取り組んだ、Lorenzモデルに対するカルマンフィルタの実装について発表する。
第10回 吹雪による吹き溜まり形成のシミュレーション(丹治 星河)
吹雪によって形成される吹き溜まりは、交通障害などの原因となり甚大な被害が出ることもある。この被害を防ぐために近年では吹き溜まり形成のシミュレーション技術が研究されているので、関連する論文をレビューする。また、先日寒地土木研究所を訪問させていただいた際に見聞きしたことを報告する。
第9回 火山噴火における降灰予測のモデル(越石 健太)
火山の噴火における降灰予測は、噴火によって放出された火砕物の運動を追跡し、降灰量や降灰域を予測するものである。現在どのようなモデルのもとで計算がされているのかを調べ、噴火から降灰予測までの流れに沿って解説する。
第8回 札幌におけるシラカバ花粉の飛散期間と移流拡散のシミュレーション(吉田 遼)
シラカバ花粉はシラカバ花粉症を引き起こす原因物質であり、シラカバ花粉の移流拡散をシミュレーションすることは、シラカバ花粉症患者にとって重要である。移流拡散シミュレーションを行うためには飛散期間、移流拡散モデル、およびシラカバ森林分布図が必要になるが、札幌におけるシラカバ森林分布図は存在しない。本発表ではシラカバ森林分布図の作成方法について紹介する。
第7回 成層圏突然昇温に関するいくつかの研究の紹介(稲津 將)
成層圏突然昇温とは成層圏極域において冬季に数日スケールで気温が急上昇する現象であり、極渦の変形または分裂を伴うものである。この力学的メカニズムはすでに解明されているが、予測可能性や温暖化応答など、最近行われているいくつかの研究を紹介する予定である。
第6回 北海道全域における複数の力学的ダウンスケーリングに基づいた積雪の地球温暖化に対する応答(勝山 祐太)
本研究では,複数の全球気候モデル(GCM)から力学的にダウンスケーリングさ れたデータを最新の積雪変質モデル(SNOWPACK)の入力値とすることで,積雪の地球温暖化に対する応答を調べた.その結果,北海道全域で大幅な積雪減少や雪質の変化が求められた.また,GCMの結果に含まれる将来予測の不確実性が積雪の将来予測にどのような影響を与えるかについても評価した.
第5回 夏季九州における力学的ダウンスケーリングの強降水継続時間のバイアスとそれに関係する総観場(玉置 雄大)
力学的ダウンスケーリングによって出力される降水データにはバイアスが存在する.従来の降水のバイアス補正は降水強度を補正する手法な主であるが,降水継続時間に注目したバイアス補正手法はほとんど存在せず,モデルの継続時間のバイアスはどの程度あるのかはわかっていない.本研究では夏季九州を対象に力学的ダウンスケーリング出力と観測の1時間降水量を用いて,大雨日における降水継続時間のバイアスを卓越する総観場毎に評価することを試みる.
第4回 MJO相空間における新たな予測可能性推定手法の開発とそのマルチモデル予報への適用 (市川 悠衣子)
本研究では,マッデン=ジュリアン振動(MJO)相空間において完全モデルの仮定を用いずに予測可能性を推定する手法を提案する.この手法は観測値の集団の平均的な予測可能性の推定を行う.そのために理論的な検討に基づいて,解析値の集団とアンサンブル平均予報の間の共分散が初期値依存性誤差に関連付けられる.完全モデルの仮定を用いないため,マルチモデル予報に適用することも可能である.ここでは手法の紹介とともに,Subseasonal to seasonal (S2S) prediction projectによって収集されたECMWF,JMAとNCEPのGCMに新しい手法を適用した結果について話す.
第3回 ブロッキング形成過程における渦度収支解析(相河 卓哉)
第2回 放射性物質拡散予測と地域防災計画(稲津 將)
第1回 気象学研究室新設にあたり相談会